喫煙サイクリストのみなさん、こんにちは。タバコが値上げされる度に、禁煙を試みては挫折してませんか? あたしゃそのクチです。いい加減、この “負のPDCAサイクル” から脱出しようと思案した末、昔ながらの “煙管” に着地しちゃいました。現在、煙管生活3カ月目。
煙管に使用する “刻み煙草” は、1箱または1袋が600円前後。主な紙タバコ1箱と同額ながら、1週間〜10日ほどの喫煙量に相当(saruveraの場合)するので経済的です。また、主流煙を肺に入れない・発ガン性物質の多い巻紙を使用しないなどのポジティブ要素もあります。そして何より道具集めが楽しい!
この記事の目次
煙管と煙草を探す楽しさは自転車趣味に通じる?
煙管と刻み煙草には複数の種類があり、好みの道具や味を探すための情報収集は自転車カスタムと同様の楽しさがあります。道具類はAmazonでレビューを見ながら検討し、刻み煙草はショップで教えてもらいながら試してみる……。ほら、自転車の部品探しと似てるでしょ?
saruveraが愛用してる煙草道具は手前から、携帯用/細刻み煙草用の延べ煙管(四寸真鍮)、普段使い用の羅宇煙管(六角和幸)、そして煙草入れ。なお、麻の葉模様の煙草入れには、極細刻み煙草の小粋を1箱、無印良品の携帯灰皿、BIC和柄ライターを収納してます。
これまでに試した刻み煙草の数々。両端のキャメル・ナチュラルとキャメル・メンソールはシャグ(手巻き煙草)で、葉を煙管でも使えます。扱いやすくスムースな味わいの “いろは” で入門し、いろいろテイスティング。宝船が荒々しすぎて合わなかった他は、マイルドな中に個性があって好き。
最も気に入った刻み煙草の “小粋” は、現存する唯一の国産品。日本在来の銘葉5品種をブレンドした極細刻みで、ほのかに甘いまろやかな味わいと上品な香りが楽しめます。ただし、0.1mm幅という極細刻みは煙管に詰まりやすくて扱いも難しく、湿らせたティッシュを箱に入れて湿度管理をしてます。
煙管を楽しむ環境を求めたら古道具が集まった
煙管を使うにしても、煙草への着火は欠かせません。着火するだけならライターやマッチで事足りるのだけど、どうにも面倒かつ野暮ったい。風で炎が揺れるので着火具合が定まらず、味わいや吸い心地がブレまくります。安定した着火を求めるなら、やっぱり炭火かなあ。
そこで、江戸時代から昭和にかけて使われてた煙草道具を調査。なるほど、直径10cm程度の小型火鉢といった風情の “火入” を使えばイイのか。そこで浅草界隈の骨董店を巡ったところ、まあお高い。骨董品ではなく古道具でイイんだよ。そこでヤフオクを検索し、無銘ながら好みの火入を1,000円で落札。
使用する炭は、元々バーベキュー用に買ったキャプテンスタッグのオガ備長炭。火力が弱くて持て余してたので、ハンマーで4〜5cmに砕いて使うことにしました。砕いた炭はジップロックで保管し、必要量だけ火起こし器で着火して火入へ。これが最近、朝のルーティーンと化してます。
ジップロックから出したオガ備長炭を火起こし器に入れ、ガスレンジの強火で炙ること2〜3分。炭に火が起きたら炭用トングで掴み、灰を満たした火入に置くだけです。ちなみに、このキャプテンスタッグのオガ備長炭の場合、5×3cm程度の欠片で3時間ほど持続します。もっと長持ちする炭がほしい。
ともあれ、煙管に詰めた煙草の端っこを炭火に当てて1〜2回ほど吸えば、煙草への着火が完了。詰めた煙草の中心部から赤く燃え、ライターやマッチで着火した場合より丸くて旨味のある味がします。優しく長く吸って口内で味を楽しみ、肺に入れることなく煙を吐く。これぞ至高の一服。
他に用意した道具は、竹筒で作られた “灰吹” と呼ばれる灰皿と、煙草入れ代わりの “ミニ茶筒” 。灰吹には少量の水を入れておき、吸い終わった煙草灰を落とすと火種が消えるようにします。ただし、水を入れたまま放置すると竹が割れるので要注意。茶筒は、ぽッかんミニが妥当なサイズでした。
そして、火入・灰吹・煙草入れを収容する “煙草盆” を、これまたヤフオクで入手。持ち運びやすい手付煙草盆を探したところ、丸瓢箪の透かしが入った春慶塗の洒落者に出会いました。茶道で用いる丸莨盆ってヤツですね。昭和40年代あたりの作らしい美品を、幸運にも3,000円で落札。
炭火を活用するため小さな鉄瓶にも手を出した
こうして煙草道具が集まったにも関わらず、余計なことをする悪癖が発動。せっかく起こした炭火を、煙草だけに使うのは惜しいんだもの。再びヤフオクにアクセスし、火入に適合しそうな小型の鉄瓶を物色。結果、未使用品の鉄急須(320ml容量)を1,500円で落札しました。完全にヤフオク中毒。
入手した鉄急須は、岩鋳の刻印が入った南部鉄器。未使用品ながら年代物のようで、金気を飛ばすまでに手間が掛かりました。熱く濃厚な緑茶に漬け込んでは茶葉でこすり洗いし、表面が冷える前に絞った布巾で乾拭き。これを7日ほど繰り返すうちに金気が消え、表面色も深い黒色に育ちましたよ。
この鉄急須を載せる五徳は、入手に時間を要しました。火入れに収まる小サイズが、なかなか売ってないのですよ。茶道の風炉用として使われる二寸五徳がヤフオクに出品されたので、逃してなるものかと即落札。なお、鉄急須より高い落札値だった模様……。
苦労して入手しただけあって、鉄急須・五徳・火入のサイズ感はシンデレラフィット。満面のドヤ顔を浮かべて炭火を起こしたところ、火力が弱くて一向に湯が沸きません。このクソ炭め。それでも保温は可能なので、沸騰した湯を注いだ鉄急須を置き、気が向いたときにお茶やコーヒーを淹れてます。
目論見が外れたものの、炭火で保温した湯は口当たりがやわらかく、お茶やコーヒーの味わいに深みが生まれます。いや本当に。これは燗酒もイケるんじゃね?と人肌燗にした日本酒を鉄急須に注ぎ、10分ほど炭火で温めてから呑んでみました。この試みは大成功。まるくなった味に酒盃が進みますぞ。
煙管は一服するにも手間が掛かるため、紙タバコや電子タバコに圧されて消滅寸前でした。それがコロナ禍による完全テレワークをきっかけに復古を果たしたのだから、何とも皮肉です。テトリスのように組まれた過密スケジュールの合間、せめて煙管をくゆらせる隙間だけは死守したいですね。
ちなみに、煙管も鉄急須も日々のメンテナンスが必要。煙管の火皿(煙草を詰める箇所)への付着物は爪楊枝などで頻繁に除去し、数日おきに消毒用アルコールを浸したモールで内部を清掃しないと、ヤニや葉が詰まってしまいます。また鉄急須は洗剤厳禁で、汚れたときは湯や茶で濯ぎ洗いをします。
大層なことを書き連ねてきたけど、所詮は肩身の狭い喫煙者。そして、喫煙マナーが求められることに変わりはありません。煙草盆を片手に換気扇の下へ行き、他人への煙や臭い、火事と一酸化炭素中毒に気を付けて楽しんでます。どんな趣味嗜好を楽しむにも、マナーと配慮は欠かせませんものね。
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