先月、三県境を目指すサイクリング中に発生した左脚の激痛は、何だったのでしょうか。左脚が上死点と下死点になる度に、左ヒザの外側に走る鋭い痛み。症状や発生状況を基に調べると、どうやら腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)というスポーツ障害のようです。
腸脛靭帯炎はサイクリストに多いヒザ痛で、太ももの外側にある腸脛靭帯がヒザ外側の骨との摩擦で炎症するものだそうです。主な原因は、ペダルを踏み込んだときに踵が内側に倒れ込みやすい、サドルが高すぎたり後ろすぎたりでヒザが伸びきってるなど(出典FUNRIDE)。思い当たる節があるなあ。
というのも、ハンドルポジションを再調整したら着座位置の自由度が高まったので、三県境へ向かうときにサドル後方着座を多用したんですよねえ。あと、確かに踵が内側に倒れやすいので、インソールで矯正しようかな。ものはついでだ、10年も履いてボロボロになったシューズを新調しちゃおう。
この記事の目次
- これが fi’zi:k TEMPO OVERCURVE R4 の包容力か!
- SPEEDPLAYよ、Wahooよ、本当に大丈夫なのか!?
- SPEEDPLAYクリートを TEMPO OVERCURVE に移植
これが fi'zi:k TEMPO OVERCURVE R4 の包容力か!
実は以前から、fi'zi:kのシューズを履きたい願望はありました。が、細身なので日本人の足に合いにくい。案の定、革新的なベルクロ式の POWERSTRAP は幅がキツくて断念。一方、OVERCURVE はBOAダイヤル式ワイヤークロージャーが足幅や甲高を許容するので、無理なくフィットした次第です。
で、以前から目を付けてた fi'zi:k TEMPO OVERCURVE R4 を、ワイズオンラインのブラックフライデーセールで46%OFFになった瞬間に購入。明らかに在庫処分品だけど、狙ってたカラーリング&適合サイズなのでラッキーでした。実は以前に試履したときのサイズを記録しといたのだよ。
TEMPO OVERCURVE R4 はエンデュランス志向ロード用・BOAダイヤル式・ミドルグレードという位置付け。アウトソールはコストダウンが効くCFRTP製で、レース志向のVENTOに採用されるCFRPほどの硬さはありません。まあ、ガチなレーサーでない限り必要十分な剛性です。
開口部の形状は左右非対称で、シューズが両くるぶしに干渉する不快感がありません。それでいて足首を包むようなホールド感。踵側のシリコン滑り止めもイイ仕事をしてます。踵が内側や外側に倒れるクセを無理なく矯正する感触があり、腸脛靭帯炎の予防効果を期待せずにはいられません。
タンも左右非対称にカーブした形状で、甲に違和感なくフィット。また、アッパー素材(PUラミネート)の適度なやわらかさ・しなやかさも気に入りました。この10年の技術進歩に感心。ワイヤークロージャーによって着脱時のタン巻き込みを防ぐ工夫が、個人的には好きです。
TEMPO OVERCURVE R4 のインソールは立体的で、アーチを積極的に支持する形状。インソールでも足を包み込もうという設計でしょうかね。ローラーで20kmほど走行した限りでは不快感や違和感なし。ここは腸脛靭帯炎に対する重要箇所なので、これがダメなら社外品を探すとしよう。
実際に fi'zi:k TEMPO OVERCURVE R4 を履くと、こんなに足が湾曲してた?と思うほどバナナ状に見えます。でも、窮屈さや無理矢理さは皆無なんだなあ。驚くほど自然な履き心地であります。ある程度の甲高は、ご覧のようにワイヤークロージャーが許容。これまた “締める” というより “包む” 感じです。
SPEEDPLAYよ、Wahooよ、本当に大丈夫なのか!?
さて、シューズを新調したならばクリートも新調したいもの。ということでSPEEDPLAYクリートの購入を意気込んだものの、Wahoo買収後の品薄っぷりは相変わらず。あえて生産数を絞ってるのか、それとも部品の調達難なのか。おかげでネット上には海賊版が氾濫しとります。よくない潮流ですね。
ともあれWahoo公式サイトもブラックフライデーセール中だったので、ここで新型クリートを購入しようと思いきや……。何このバカバカしい送料。それでいて正規取扱店によるネット販売は規制されてるみたいで、これじゃあ海賊版が横行して当然ですな。このD2C戦略は失敗じゃない?
そんな状況なので、とりあえず既存のSPEEDPLAYクリートを fi’zi:k TEMPO OVERCURVE R4 へ移植することにしました。ウォーカブルクリートカバーを付けて使用してたことが幸いし、5年目を迎えた現在も使えそうなコンディション。定期的にメンテナンスをしといて助かったなあ。
元のシューズからクリートを外す際、右足クリートのベースプレート固定ボルトが緩んでたことに気付きました。これではペダルと脚の固定もおぼつきません。なるほど、三県境ライドの終盤で右足スネが痛くなった原因はコレだったのか。後部着座の影響で、変な方向に力が入ってたのだろうなあ。
取り外したSPEEDPLAYクリートは汚れが溜まってたので、可能な限りバラしてからパーツクリーナーで洗浄。その後、スプリングの動作性確保と破損リスク軽減のため、スプリングとペダルの噛み合い端にラスペネを注油します。また固定ボルトは洗浄後、ゆるみ止め剤のロックタイト222を塗布。
SPEEDPLAYクリートを TEMPO OVERCURVE に移植
さあ、1時間以上かけて洗浄・取り付け準備を整えたSPEEDPLAYクリートを、いよいよ移植しますぞ。唯一の懸念点は、TEMPO OVERCURVE の湾曲したアウトソールに、クリートのベースプレートが隙間なく固定できるかという点。手持ちのシムで事足りることを祈るばかりです。
結果、一番大きなシムを間に挟むことで、アウトソールとベースプレートは隙間なく接合できました。拇指球がペダル中心に位置するように前後位置を調整したら、かなり深いポジションになったけど大丈夫かいな。まあ、ここは調整を繰り返してベストポジションを見つけるほかありませんな。
そして、クリート本体をベースプレートに固定。Qファクターはかなり狭めに設定してます。ここも調整を繰り返しながらベストポジションを見つけなくては。SPEEDPLAYクリートは調整領域が多い分、シューズ装着後の調整作業が多くて面倒です。冬の間、気長に調整を繰り返すとしよう。
せめて、消耗品のウォーカブルクリートカバーは新調しておくか。といっても、純正品が入手困難なので昨年いくつか購入した海賊版ですが。本物より薄くて滑りやすく、簡素なパッケージ ビニール袋に “新款棒棒糖鎖片” と記載されてます。極めて怪しい代物。
胡散臭さ漂うウォーカブルクリートカバーを装着したら、SPEEDPLAYクリートの装着作業は完了。クリートの位置は前後左右だけでなく爪先の開き角度も無段階に調整できるので、可能な限り脚に負荷のないポジションを求めて調整作業を繰り返す日々がスタートしたとも言えますね。
最後に、SPEEDPLAYクリートを装着した fi'zi:k TEMPO OVERCURVE R4 の姿を確認。クリートが厚い分、歩行時はヒールへの負荷が高くなりますね。極力、歩行は避けたいものです。体に馴染むまでの手間やコストを考えると、できるだけ長く使い続けたいもの。
さあ、この新シューズで腸脛靭帯炎を防ぐことはできるのか。ファーストインプレッションは上々だったけど、ある程度の距離を走ってみないと最終的な判断はできません。件の腸脛靭帯炎が発生したのは、走行距離が90kmを超えてからだったし。じっくりトライ&エラーするのみですな。
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