登頂した山で茶を点てたら、一期一会の醍醐味が深まるじゃないですか ── モンベル創業者・辰野勇さんの言葉に、衝撃と興奮を覚えたものです。サイクリング先で興じる野点は、さぞ味わい深いだろうな。そんな野点ライドに焦がれて10年、念願の“モンベル野点セット”を入手しましたぞ。
モンベル野点セットは、茶碗、棗、茶杓、茶筅、茶巾、盆2枚、巾着ポーチで構成されてます。アウトドア・ユースでの携帯性を重視した造作で、通常の茶道具より1〜2回りコンパクトかつ軽量。価格の割にチープな質感なのは理由があってのことだし、相当ニッチな商品だから仕方ないか
メラニン樹脂製の茶碗は質感こそ貧弱なれど、それをはるかに上回る利点があります。保温性に優れ、割れにくく、そして軽い(実測値99g)。登山や自転車での携行を前提にした設計思想に触れると、筆で描いた風の山、モンベルの印、プラスチッキーな手応えに、愛おしさすら湧いてきます
抹茶を入れる棗も、コンパクトで軽い樹脂製。携行中に抹茶がこぼれないように、ぴっちりな内蓋とゴムバンドが付属してます。棗に半量の抹茶で、濃茶4〜5杯。1回の携行には必要十分な容量ですね。棗の抹茶をすくう茶杓は竹製で、布製ケース付き。細かいところが妙に本格的だな
茶を点てるための茶筅も、本格的な竹製。デリケートな部類の道具なので、プラスチック製のハードケースに、乾燥剤と一緒に入れて保管・携行します。茶碗を拭く茶巾は、ガーゼのような風合い。これまた携行することを考えて、軽量かつ水切れがいい素材を採用してるのでしょう
付属する盆は、木目加工を施した樹脂製。黒色盆は茶碗を置くために、茜色盆は茶筅と棗を置くために使用します。食器を地面に直置きすると安定性に欠けるし、そもそも生理的な抵抗感があるものねえ。地味だけど重宝する存在。ちなみに、茜色盆には茶筅を固定できる突起が設けられてます
これらの茶道具を収納する巾着ポーチは、モンベル製品によくあるドビー織りのナイロン製。側面と底面は、衝撃吸収材を挟んだポリエステルで補強されてます。ただ、防水加工(ウレタンコーティング)の経年劣化が気がかり。乾燥とメンテナンスを心がけねばなあ
道具を携行するときは、まず巾着ポーチに盆を収納し、次に茶巾・棗・茶杓を入れた茶碗を収納します。茶筅はハードケースに入れたうえで、巾着ポーチ別体式の茶筅入れに収納。これら野点セット一式の総重量は、棗の半量分の抹茶込みで320g。サイクリングで苦になる重量ではない
お湯の携行も忘れちゃいけない。旅先の水を沸かせれば理想的だけど、それでは制約が増える。日頃から保温性と軽量性を実感してる“サーモスJNO-352”を、お湯専用に買い足しました。茶碗や茶筅を濯ぐとなれば、350ml容量は必要不可欠。目いっぱいお湯を入れた総重量は490gなり
茶の点て方は、いたって我流。日頃はスーパーで買った“お稽古用の抹茶”で練習し、ハレの日は近所のお茶屋さんがすすめてくれた“御濃茶松風昔”や“京昔”なんぞを使ってます。よくよく自重しないと、ホントに身上を潰しかねませんな。茶は野良でいいや、野良で
ともあれ、野外の茶遊びに細かい作法を持ち込むのは野暮ってものよ。より自己満足に浸るための野点だもの、己の美学・利福・善道を貫く一服ができれば、それでイイじゃないか。などと御託を並べたところで、キャンプにハードルを感じるミニベロおやじの一人遊び[野点ライド]がはじまります。
2 コメント
こんにちは。
野点とは、風流ですなぁ。
まあ茶道具はプラスチックので我慢するとしても、お茶菓子は旅先の老舗の和菓子に拘れると楽しみが見出せそうですね。
> まりぽさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。風流というより酔狂なのかもしれませんw このご時世、なかなか多人数で走れないので、こんな遊びをば。まあ、他人に一服すすめるのは憚られますが。あと、今日のお茶菓子は1本満足バー(プロテインチョコ)でした……。ともあれ、またみんなで走りに行きましょう。それまで、どうぞお元気で!