映画「栄光のマイヨジョーヌ」人生とビールは苦味が旨い

saruvera

大小あまたの挫折と栄光の積み重ねなんだよな、人生って。挫折のほうが圧倒的に多いけど、それを糧にして次こそ勝利の栄光を手にしようともがく。この繰り返しが人生を形成することを、四十代半ばを過ぎて、ようやく理解できてきた気がします。勝利は1人で得られるものではないことも。
 
自転車ロードレースの世界は、そんな人生の輪廻を思いっきり煮詰めて玉鋼にし、過酷に何度も叩いて焼いたものに見えます。それだけに勝利がもたらす栄光は大きく偉大で、超人的な選手たちが各々の役割を果たすチームプレーを展開するのでしょうね。“All for One” の名のもとに。
 
ということで、本来ならツール・ド・フランス開催期間にあたる今、映画All for One 栄光のマイヨジョーヌを観た次第であります。グリーンエッジ(現ミッチェルトン・スコット)の発足から2016年までの5年間を追ったドキュメンタリーで、デジタル先行配信で観た人も多いのではないでしょうか。


 

選手1人1人が目的達成に向けてもがく先に、チームの勝利が見えてくる。だからこそチームは個々の目標を共有し、その達成手段を仲間がサポートする。こうした All for One(全ては勝利のために)の過程で芽生えた信頼の糸を何本も束ねて、ついにグリーンエッジはマイヨジョーヌを手中に収めます。
 
劇中、特にクローズアップされるレースは、2013年ツール・ド・フランス第4ステージ(勝者サイモン・ゲランス)、2015年ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージ(勝者エステバン・チャベス)、2016年パリ〜ルーベ(勝者マシュー・ヘイマン)。いずれも、どん底から勝利をつかんだ3戦です。
 

2013年ツール・ド・フランス第4ステージ、チームTTを0.75秒差で制して初マイヨジョーヌを獲得。ジェリー・ライアンの「バスをぶつけた間抜けがヒーローに変身した瞬間」という言葉通り、八方塞がりの重い空気を吹き飛ばす疾走感と爽快感が見ものです
 

2015年ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージ、エステバン・チャベスが急勾配区間を果敢に攻めてマイヨロホ獲得。そのレース過程と、前々年に負った複雑骨折からの復帰を目指す少年チャベスや、彼を叱咤しながら支える大人たちの2年間が交差します。胸が熱くなる成長譚
 

おやじ的に感涙したのが、2016年パリ〜ルーベ。マシュー・ヘイマンが15連敗中のルーベに挑むも、前哨戦で骨折。それでもローラー練習で体を作り、レースでは逃げ集団に加わる。相次ぐ仲間の脱落に心を削られても、執念を再燃させて先頭集団に残り続け、ついには最後のスプリント勝負へ……
 
この映画は新興ロードレースチームの挑戦を追う以上に、グリーンエッジというプロジェクトチームが “勝つ力” を得る過程に迫ったドキュメンタリーとして受け止められました。プロジェクトメンバー個々の壁を破る挑戦の連続こそ All for One であり、チームの勝利へ帰結する道だと。
 
チャベスが語るように、人生は戦いの連続だし、負けても前進するしかないものでしょう。前進しなければ、勝利の尻尾に触ることもできないから。正直、若い人には説教くさい映画かも。でも管理職からすると、若いうちに知ってほしいことが詰まってる。何このギャップ。やっぱり人生はクソ苦いな。
 
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