梅雨時を迎え、熟した梅が店頭に並ぶようになりましたね。そろそろ梅仕事に興じる頃合。とはいえ、我家には梅干しが2年分くらい残ってるしなあ。そこで今年は “梅シロップ” を作ることにしました。炭酸水で割れば疲労回復ドリンクになるし、そこに焼酎も注げば梅サワーになるし。
密封ビンで作る[梅シロップ]のレシピ
梅シロップ | 梅(熟した果実) | 1kg |
氷砂糖 | 1kg(梅と同重量) | |
ソーダガラス密封ビン | 2リットル容量 | |
殺菌用 | レモン果汁(梅の殺菌用) | 適量 |
無水エタノール(器具や手の殺菌用) | 適量 |
良質な南高梅が店頭に並んだら、好機を逃さずに1kgほど購入。すぐにパッケージから取り出して新聞紙の上に並べ、果実が赤黄色になるまで放置して追熟させます。桃のような香りを楽しみながら、梅仕事に取り掛かる週末まで様子見。
梅が熟したら、水を張ったボウルに投入。1時間ほど水に浸すことでアクを抜きます。その後、果実を1つ1つ優しく手洗いしては竹串でヘタを除去。そしてキッチンペーパーで水分を拭き取ったら、別の消毒済ボウルへ移していきます。地味だけど、腐敗を防ぐ重要な作業。
傷んだ果実を取り除きつつ、全てを消毒済ボウルへ移し終わったら、レモン果汁を降り注いで殺菌。清潔な手で優しく混ぜ、全果実の表面がまんべんなくレモン果汁で湿った状態にします。これが済んだらザルに開け、余分な水分の自然乾燥を促しておきましょう。
次にザルへ開けた梅の重量を計り、それと同重量の氷砂糖を用意します。梅仕事をはじめる前にザル単体の重量を計っておくと、このときの計算が楽ですね。徐々に浸透圧を高めてこそ梅のエキスと風味がしっかり抽出できるので、必ずゆっくり溶ける氷砂糖を使用すること。
材料と下ごしらえが整ったら、消毒済の密封ビンに梅と氷砂糖を交互に重ねながら入れます。梅の表面に氷砂糖ができるだけ接触するように積み重ねると、果実のエキスと風味を存分に引き出せますよ。最後に霧吹きでレモン果汁を吹き付けて菌の繁殖を防ぎ、フタを締めます。
あとは冷暗所に安置し、ときどきビンを揺すって撹拌しつつ10日から2週間ほど待つだけ。今回は2リットル容量の密封ビンが空いてなかったので、1リットル容量の密封ビンを2本使いました。使う梅の倍量の密封ビンを使わないと、途中で溢れたりするので注意してくださいね。
で、2週間後に確認したら何だか様子が変。一部の果実がパンパンに膨れ、梅シロップが微発泡してます。ゆっくり開栓したにも関わらず、ボンッと大きな音。少し発酵しちゃったようですね。腐敗臭やアルコール臭はしないので問題ないけど、発酵を止めないと密造酒になっちゃう。
ということで、発酵止めの火入れ。密封ビンの中身をザルで濾して果実と分別した梅シロップを、鍋に入れて弱火に掛けて70℃を維持します。白色の泡がどんどん出てくるので掬っては捨てるうちに透明感が増し、そこから3分ほど70℃で煮込んで火入れの完了。
火入れを終えた梅シロップは、粗熱が取れた後に消毒済のビンへ注いで冷蔵庫へ。風味を損なうことなくボトリングできました。氷を満たしたグラスに炭酸水と梅シロップを6:4で注いで軽くステアすれば、クエン酸たっぷり梅ジュースのできあがり。夏バテやサイクリング後に最高の1杯です。
さて、梅シロップと分別した梅の果実はどうするかな。氷砂糖の甘味が染みておいしくなってるので、単に捨てるのは惜しい。ならば保存の効く “梅ジャム” にしてしまおう。
梅シロップ副産物で作る[梅ジャム]のレシピ
梅ジャム | 梅(シロップを作ったあとの果実) | 全量(種と皮を除く) |
グラニュー糖 | 梅の60〜70%重量 | |
レモン果汁(梅の殺菌用) | 小さじ2 | |
ソーダガラス密封ビン | ジャムの空きビンで可 | |
殺菌用 | 無水エタノール(器具や手の殺菌用) | 適量 |
まずは梅シロップと分別した梅を、手でギュッと握り潰して種を除去。その果実をまな板に置き、包丁で皮から果肉をこそげ取ります。残った皮は粗みじん切り。皮は舌触りが悪いので、できるだけジャムに入らないようにしつつ、果肉はしっかり得たいのです。
で、粗みじんにした皮や果肉をパンチングメッシュのザルで裏ごし。こうすることで、なめらかな舌触りの果肉だけを取り出すことができます。ザルに残るのはカスカスの皮や繊維だけ。ここまですれば、もったいないお化けも許してくれるでしょう。
取り出した果肉は重量を計り、その60%重量のグラニュー糖を用意。次に果肉を鍋に入れて弱火に掛け、焦げないように混ぜながら煮立てます。フツフツしてきたらグラニュー糖を加え、よく混ぜながら30分ほど煮込みます。
30分ほど煮込むうちにとろみが出てきました。ここでレモン果汁を加え、ひと煮立ちしたら完成です。熱いうちに殺菌したビンに詰めてフタをしましょう。ジャムは冷めるととろみが強くなるので、粘度が強くなるまで煮詰める必要はありません。
今回の梅ジャムは、市販ジャムの空きビン2本弱の量になりました。自然に冷ました後に試食してみると、甘さ控えめで酸味がある爽やかな味わい。市販品のような甘味がほしい人は、グラニュー糖の比率を70%以上にしたほうがイイかも。
危うく密造酒になるところだったけど、おいしい梅シロップに着地できたし、副産物の梅ジャムも上々の出来。梅シロップや梅酒を作るときに発酵することは多々あるので、焦らずにリカバリーすれば問題ありません。今年も楽しい梅仕事になりました。
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