スルーアクスル方式の自転車に乗ると、踏み込んだパワーがロスなくホイールに伝わってるような感覚がしませんか? 接地感が強いというかダイレクト感が強いというか、そんな感覚。あれ、ズルいよなあ。それと比べるとクイックリリース方式は固定力が弱く、どうしても剛性が低くなってしまいます。
その弱点を補うパーツが DT SWISS RWS というスキュワー。クイックリリースのようにエンドを挟み込むのではなく、ボルトを締めるトルクで強固にエンドへ固定するホイールシャフトです。その効果は “ホイールを換えたようだ” と大絶賛。半信半疑ながら、その効果を享受したくて堪りません。どれ、試してみるか。
入手したスキュワーは、スチールシャフトの DT SWISS RWS Road でフロント用100mmとリア用130mmの2本組。クイックリリースの代替と考えると高価だけど、ホイールセットよりは安価。期待する効果を考えれば惜しくない(と信じたい)。なお、Amazonには安価な偽物が出回ってるので要注意。
入手した DT SWISS RWS Road の重量は、フロント用が50g、リア用が53g。図らずも LIGHTCUCLE Ti451 の常用ホイール NOVATEC JACKY 451 のクイックリリースと同じ重量でした。DT SWISS RWSにはより軽量なチタンシャフトもあるけど高くてねえ。
ともあれ、ホイールのハブからクイックリリースを引き抜き、DT SWISS RWS ROAD を挿入。作業はたったこれだけ。カスタムと呼ぶのもおこがましい作業です。強いて言えば、タケノコバネの向きが逆にならないように注意することですかね。
一方のリア用は、チタン製エンド部に接触する固定部にチタンプレップを塗布してから挿入。赤茶色なのはサビではありません、チタンプレップの色ですよ。チタンは異種金属と接触すると電位差が生じて固着してしまうので、それを防ぐための専用グリスアップをしておく必要があります。
こうして DT SWISS RWS の装着が完了。クイックリリースと違って固定時に左右に偏らないので、タイヤとブレーキシューのクリアランスが偏ることがありません。これは地味にありがたいです。なお、締めすぎるとハブを損傷したり回転が重くなるので、蛇口を捻る程度のトルクに留めましょう。
ちなみに DT SWISS RWS のレバーは手前に引き出すと単独で回転するので、ホイールを固定後にこうやって任意の位置に調整することが可能です。このレバーの回転機構に細かい歯が仕込まれてるので(まるでスターラチェットみたい!)、レバーの固定位置を出しやすい。いかにもDT SWISSらしい緻密さですな。
DT SWISS RWS の効果をワンイチ(東京湾1周)で確かめたところ、なるほど確かにホイール周りの感触が変わりました。特に登坂時、ペダルを踏むトルクやケイデンスを上げると素直にググッと坂を進む手応えがあります。パワーの漏れがない感覚。その一方で、ステアリングが左右に振れやすくなった感じがします。
端的に言うと、ダイレクト感が増した影響でステアリングがピーキーになった感じ。この辺は人によって好みが分かれるでしょうね。ミニベロの性能向上にトレードオフは付き物。振れやすいステアリングを押さえ込む必要はあるけど、それでもこの推進力は魅力的に思えたsaruveraでした。