走行距離が長いブルベやロングライドは、常に “自宅から遠隔地で走行できなくなるリスク” を抱えてるわけで、それに対する備えが求められます。こうした走行断念時の最もポピュラーな帰宅手段は電車輪行で、利用するには鉄道会社が定めるルールに沿う必要があります。
とはいえ、最も厳格なJRの輪行ルールに適合した輪行袋を携行すれば済む話。それより悩むのは、輪行袋としての可用性と長距離走行時の携行負担の見極めではないでしょうか。以前、ばるさんに薦めてもらった オーストリッチ 超軽量輪行袋ウルトラSL-100 は、なるほど信頼感のある選択肢ですね。
ところが、saruveraは “ある理由” でウルトラSL-100を断念しなくてはなりませんでした。うーむ、困ったな。そんなとき目に止まったのが、チーム小輪爺のsambeさんから借りたままの mont-bell コンパクトリンコウバッグ。試したら “ある理由” を解消できたので、自分用に新規購入してきました。
収納袋に収めた mont-bell コンパクトリンコウバッグ のサイズは、およそ全長170mm×全高65mm×全幅65mm(たたみ方で変動)で、実測重量は294g。ウルトラSL-100の収納時より1回り大きく、重量も184g重いです。生地はしっかりした手触りがあり、それなりの耐久性が期待できます。
mont-bell コンパクトリンコウバッグ は本体と収納袋が縫い付けられてるので、迂闊なsaruveraは紛失を防げてありがたい限り。その他、収納袋には肩掛けストラップ×1本と、ホイール固定ストラップ×3本が入ってます。エヴァンゲリオン初号機みたいな配色がステキ。
mont-bell コンパクトリンコウバッグ の内側には、使用方法が大きくプリントされてます。使用頻度が少ないツールは使用方法の細部を誤ることがあるので、うっかりミスを予防できますね。輪行初心者の目線に立った設計なのでしょう。使用方法や携行が簡単だからこそ、億劫にならず使えるという思想。
この輪行袋の可用性を高めるために、ちょっとした小道具を用意しました。写真左の MARUTOりんりんバンド(車輪固定フック)は、ホイール固定ストラップより軽量・コンパクトで作業性も向上します。写真右のMARUTOスプロケットカバーは、輪行時のフレーム傷付き防止用。
自転車を天地逆にして前後輪を外したらギアをアウタートップへ。次に、スプロケットカバーを装着した後輪と前輪で前三角をサンドし、りんりんバンドで3箇所を結束固定。手際の悪いsaruveraでも、ここまで5分足らずでできました。りんりんバンドの効果はすごいな。
あとは肩掛けストラップの両端をBB結合部とヘッドチューブ結合部に装着し、ステアリングを可能な限り切りながら輪行袋を被せるだけ。仕上げに輪行袋の裾をドローコードで絞れば完了です。このハードルの低さに、へえ〜と感心するばかり。輪行への心理的負担が相当に少ないぞ。
とはいえ、トレードオフするものもありまして。裾をドローコードで絞っても、底に隙間が残ってしまいます。車両を天地逆さにする前にサイコンやドリンクボトルを外しておかないと、運搬中に落として紛失するでしょうね。あと、ハンドルブラケットやサドルが汚れやすい。
そして mont-bell コンパクトリンコウバッグ の基本形は横置きなので、JRの輪行ルール範囲内とはいえ結構なサイズになります。フレームサイズが大柄な チタンミニベロ LIGHTCYCLE Ti451 を収納したときの最大値は、全長1100mm×全高900mm×奥行280mmと威圧的(JR規定限度△220mm)。
床面積の占有率を減らすには、縦置きにしないとなりません。そこで、縦置き輪行に欠かせない オーストリッチ リアエンド金具 と貰いものの樹脂製フロントエンドホルダーを、物置からサルベージ。合計重量は134gなので、それほど大きな負荷にはなりません。ただ、意外と場所を取るんですよね。
リアエンド金具とフロントエンドホルダーの装着に要する時間は3分程度。輪行に慣れてる人はもっと早いでしょうね。そうそう、LIGHTCYCLE Ti451 はシートステーにチェーンフックが設けられてるので、輪行時にチェーンが暴れずに済みます。小さいけど重宝する装備。
あとは横置きと同様、車両を天地逆さまにした状態で mont-bell コンパクトリンコウバッグ を被せて裾を絞り、全体を90°回転させてリアエンド金具とサドル後端が底になるように縦置き。全体寸法は横置きとほぼ変わりないのに、占有床面積と威圧感が大幅に減ります。
鉄道車内でのことを考えれば、やっぱり縦置きがベストだよね。そう思ってリアエンド金具とフロントエンドホルダーをフレームバッグに収納しようとしたものの、収める余地がありません。これこそが、ばるさん推薦のウルトラSL-100(エンド金具が必須)を断念した理由でもありました。
我がフレームバッグ FAIRWEATHER Corner Bag の収容物には、エンド金具とトレードオフできるモノがないんですよ……。輪行するときは他者の迷惑にならないよう、空いてる列車の最後部で横置きするしかありません。まあ、それも特異なミニベロの宿命であり、楽しさでもありますな。
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