ロングライドの話になると、必ず挙がるワンイチ。東京湾を1周する約200kmのロングライドであります。以前から挑戦したかったけど、なかなか早起きできなくてねえ。平均速度20km/hで計算しても最低10時間は必要になるから、かなり早朝に出発しないと1日で完走できません。
たまたま9月連休の最終日に早起きできたので、ワンイチに挑戦することにしました。午前3:00に起床してコーヒーを飲んだ後、コンビニのおにぎりをパクつきながら準備を開始。4:40頃に浅草橋の我家を出発し、スタート地点の東京駅へ向かって チタンミニベロ LIGHTCYCLE Ti451 を走らせるのでした。
こうして5:00過ぎに東京駅の丸の内駅前広場に到着。始発前なので人影はありません。ワンイチへ出かける前に車両チェックをしてるとタイヤの空気圧が低下してたので、駅前広場に座り込んで空気を充填。こういうとき、CYCPLUS電動ポンプを携帯してあって良かったと実感します。
それでは反時計周りのワンイチを開始。まずは二重橋へ出て、皇居から聞こえるスズムシとカエルの合唱を聞きながら日比谷通りを南下。東京タワーを右手に見ながら、第一京浜と合流する三田へ向かいます。日の出前の都内は静かで交通量も少なく、とても快適。
三田から入った第一京浜は、それまでの道路と一転してトラックやタクシーが爆走する大動脈。横を掠める大型トラックと並走しつつ、翌週に控えたBRM200を意識して25km/hを維持するようにペダルを回します。新たに導入した DT SWISS RWS の効果か、八ツ山の登坂もペダルをガシガシ踏んで難なくクリア。
こうして6:15頃、多摩川に架かる六郷橋に到達。東京駅からおよそ1時間でここまで来たのはなかなか調子いいぞ。この橋は自転車通行帯が広くて車道寄りなので、高所恐怖症にはありがたい。そう安堵しながら多摩川を渡河し、神奈川県川崎市へ突入。
なおも第一京浜を西走し、信号停止中に道端を見れば鶴見線の国道駅。まるで廃駅のようなディストピア感あふれる駅舎に足を踏み入れ、悦に入るのでありました。外壁には第二次大戦中の銃弾痕も残り、厨二心をくすぐる建造物です。
走行を再開して首都高横羽線の高架下を進み、栄町の二股路を左へ。すると、横浜みなとみらいのオフィスビル群が見えてきました。スタートから2時間で横浜とは好調じゃないかと自画自賛してたら道を曲がり間違えて迷走。復旧を図るもコスモワールドの観覧車の前に出てしまい、脳内コンパスが崩壊しました。
まるで方角が分からん! とりあえず観覧車の前に座り込んで一服。で、iPhoneで周辺地図を確認し、進むべき道を捜索。なるほど、汽車道を進んで桜木町へ出ればイイのか! LIGHTCYCLE Ti451 を押し歩いて自転車通行NGの汽車道を進むのでした。このタイムロスは痛い。
ようやくルートに復帰し、平戸桜木道路(県道218号)を黄金町方面へ前進。繁華街を貫く道路だけど、休日の朝なのでクルマが少なくて走りやすいことが幸いです。生活感がありながらもすっきり整備された街並みが横浜っぽくて素敵。
さて、黄金町を過ぎて前里町4丁目を左折し、横須賀街道(国道16号)へ。堀割川に沿ったこの道を一気に南下して、根岸湾へ向かいます。交通量が増えてきたけど路肩に余裕があるので、クルマに負けじとスピードアップ。エアロポジションになってケイデンスを上げていきます。
やがて国道16号は右折し、根岸湾に沿って弧を描きながら磯子区へ。沿道のコンビニへ寄って空になったドリンクボトルに給水後、走行を再開すると道路案内標識に横須賀までの距離が記されてるではありませんか。もう横須賀は近い! そう思えるだけで脚が回るから不思議なものですね。
国道16号の南下を続けると、やがて富岡隧道に差し掛かります。横須賀に至るまでには無数の隧道を通過することになり、これが最初の隧道。緩やかな登り勾配のトンネルを、ペダルを踏み込んで通過していきます。背後から迫るバイクの排気音が怖い。
アップダウンを繰り返しながら金沢八景を通過し、三浦半島へ突入。前方に見える田裏隧道を抜ければ横須賀だ! 信号待ちで一緒になったバイクに続いてダンシングしながら長めのトンネルを登坂。さすがに脚がキツさを覚えるも、何だ坂こんな坂と登っていくのだ。
半ば意識を飛ばしながら隧道を抜けるうち、左手の眼下にヴェルニー公園が見えてきました。横須賀に突入した感激で胸がいっぱいになりながら、ヤシ並木が続くよこすか海岸通りを進みます。時刻は9:00を過ぎたところで、東京湾フェリーの出港時刻の9:25まで猶予はありません。見物することなく先を急ぎます。
とにかく9:25までにフェリー乗り場に着かなければ!とペダルを回すsaruveraの行手を阻む交通渋滞。北久里浜駅前で渋滞にハマり焦れる一方であります。ああ、こんなときにウィルソン・フィリップス上院議員が現れないものか。次の出港まで1時間も待つのは回避したい!
渋滞を抜け出して車速を上げるも、久里浜駅前で敢えなくタイムアウト。フェリー出港時刻の9:25を迎えました。ああ、横浜でのタイムロスが恨めしい。……と悔やんでも仕方ない。ここからはポタリングを楽しむことに気持ちを切り替えるとするか。
ということで久里浜街道をポタポタと進んでくと、夫婦橋という水門橋に差し掛かります。この橋が架かる平作川には、たくさんの釣り船。この辺りはカワハギ釣りのメッカだそうです。釣り糸を垂らして過ごす休日ってのもイイなあ。
そんな久里浜街道を南下すると、やがて東京湾と邂逅。開国橋とかペリー通りとか、同地ならではの名称が素敵です。入江の前方に広がる久里浜港を見てるうちに感慨深くなりますね。すると、磯子のコンビニで会ったモンキー125乗りカップルと遭遇。こういう遭遇が旅情を誘うなあ。
せっかくなので、開国橋の袂に LIGHTCYCLE Ti451 を停めて久里浜港を背景にワンショット。ここまで走ってきた愛車と脚を慈しむのでありました。これにてワンイチの約半分を消化。さあ、フェリーに乗り込んで房総半島へ向かうぞ!
こうして9:50頃に東京湾フェリー久里浜港乗り場へ到着。ターミナルビルの脇に設置されたサイクルラックに愛車を預け、チケット売り場を訪ねます。ついでに売店で瓶コーラとよこすか海軍カレーパンを購入。観光地価格だけど、これは買うでしょ。商売が上手いなあ。
カレーパンが揚がるのを待つ間に、10:20出港の久里浜〜金谷の片道切符と自転車乗船券をSuicaで購入。輪行バッグに収納すれば無料だけど面倒くさいので、車両乗船代を支払って船体に固定してもらうことにしました。係員の方々が親切に案内してくれるので初めてでも安心。
ターミナルビルを出ると、乗船する金谷行きのフェリーが到着してました。黒船仕様とのことでテンション爆上がり。誘導に従いバイクに続いて乗船するときなんて、まさしく特撮の発進シークエンスみたいで鼻血が出そうになりましたよ。
ところで乗船を待つ間、大和市から久里浜までサイクリング中というおじさんに声を掛けていただき、ワンイチについての助言をいただきました。こういう旅の出会いは心が暖かくなりますね。その親切に感謝しつつ、フェリーは10:20に金谷へ向けて出港の汽笛一声。次回の[千葉編]へ続きます。