大抵のロードバイク完成車は、50/34Tフロントチェーンリングと11-28Tリアスプロケットが装着されてますよね。ギア比は最小1.21〜最大4.54。それなりの勾配のヒルクライムから平地での高速巡航まで卒なくこなせる構成なので、確かに標準装備的な存在です。
ただし、それは700Cロードでの話であって、タイヤが小さなミニベロだと不都合な事情が出てきます。下表のように700×25C(タイヤ周長2105mm)と451×7/8(タイヤ周長1565mm)の理論速度には圧倒的な差があるため、必ずしも11-28Tをオールマイティーなスプロケと断言できません。
50/34T×11-28T ギア比と理論速度
(90rpm) | (90rpm) | (90rpm) | (90rpm) |
|||
28T | 1.21 | 13.8 km/h | 10.2 km/h | 1.78 | 20.2 km/h | 15.0 km/h |
25T | 1.36 | 15.4 km/h | 11.4 km/h | 2.00 | 22.7 km/h | 16.9 km/h |
23T | 1.47 | 16.8 km/h | 12.4 km/h | 2.17 | 24.7 km/h | 18.3 km/h |
21T | 1.61 | 18.4 km/h | 13.6 km/h | 2.38 | 27.0 km/h | 20.1 km/h |
19T | 1.78 | 20.3 km/h | 15.1 km/h | 2.63 | 29.9 km/h | 22.2 km/h |
17T | 2.00 | 22.7 km/h | 16.9 km/h | 2.94 | 33.4 km/h | 24.8 km/h |
15T | 2.26 | 25.7 km/h | 19.1 km/h | 3.33 | 37.8 km/h | 28.1 km/h |
14T | 2.42 | 27.6 km/h | 20.5 km/h | 3.57 | 40.5 km/h | 30.1 km/h |
13T | 2.61 | 29.7 km/h | 22.1 km/h | 3.84 | 43.7 km/h | 32.5 km/h |
12T | 2.83 | 32.2 km/h | 23.9 km/h | 4.16 | 47.3 km/h | 35.2 km/h |
11T | 3.09 | 35.1 km/h | 26.1 km/h | 4.54 | 51.6 km/h | 38.4 km/h |
この絶対的な速度差を埋めるために、ミニベロではフロントチェーンリング大径化が定番カスタムとなってます。ちなみに、LIGHTCYCLE Ti451 は非真円の RIDEA ROAD POWERING Lami Flow を使うことでフロントを最大56/42Tとし、これと高ケイデンスの合わせ技で700Cに追いすがる状況。
ただし、タイヤ径が小さいと速度を維持しにくいので、高ケイデンスの維持による推進力のロスを抑えるために、11-25Tというクロスレシオを頻繁にシフトチェンジして走るわけです。そのため11-28Tは “ヒルクライムにも振り切れてない中途半端な存在” という印象を抱いてました。
ところが、東京湾一周やブルベを視野に入れるようになって、11-28Tに対する見方が一変。それなりの登坂を避けられないロングライドでは、25Tより軽いギアがないことで発生する “登坂タイムロス” のほうが痛く思えたからです。そこで、下表を作ってギア比と常域ケイデンスを客観視すると……。
LIGHTCYCLE Ti451 ギア比と理論速度
(95rpm) | (95rpm) | (95rpm) | (95rpm) |
||||||
25T | 1.68 | 14.5km/h | 2.24 | 19.3km/h | 28T | 1.50 | 12.9km/h | 2.00 | 17.2km/h |
23T | 1.82 | 15.7km/h | 2.43 | 21.0km/h | 25T | 1.68 | 14.5km/h | 2.24 | 19.3km/h |
21T | 2.00 | 17.2km/h | 2.66 | 23.0km/h | 23T | 1.82 | 15.7km/h | 2.43 | 21.0km/h |
19T | 2.21 | 19.1km/h | 2.94 | 25.4km/h | 21T | 2.00 | 17.2km/h | 2.66 | 23.0km/h |
17T | 2.47 | 21.3km/h | 3.29 | 28.4km/h | 19T | 2.21 | 19.1km/h | 2.94 | 25.4km/h |
16T | 2.62 | 22.6km/h | 3.50 | 30.2km/h | 17T | 2.47 | 21.3km/h | 3.29 | 28.4km/h |
15T | 2.80 | 24.1km/h | 3.73 | 32.2km/h | 15T | 2.80 | 24.1km/h | 3.73 | 32.2km/h |
14T | 3.00 | 25.9km/h | 4.00 | 34.5km/h | 14T | 3.00 | 25.9km/h | 4.00 | 34.5km/h |
13T | 3.23 | 27.9km/h | 4.30 | 37.2km/h | 13T | 3.23 | 27.9km/h | 4.30 | 37.2km/h |
12T | 3.50 | 30.2km/h | 4.66 | 40.3km/h | 12T | 3.50 | 30.2km/h | 4.66 | 40.3km/h |
11T | 3.81 | 32.9km/h | 5.09 | 43.9km/h | 11T | 3.81 | 32.9km/h | 5.09 | 43.9km/h |
スプロケット CS-R8000 11-28T 装着と課題解消
机上での11-25Tと11-28Tの比較結果は、案ずるより産むが易しという感じ。そりゃあそうか、大きく異なるのは上3枚だけだもの。腑に落ちたところで、長らく死蔵してた CS-R8000 11-28T を納戸からサルベージしてきました。実は、正月に購入した Di2グループセット に同梱されてたんですよね。
半年の月日を経て日の目を見た ULTEGRA CS-R8000 11-28T カセットスプロケット。実測重量は251gで、同じCS-R8000の11-25Tより30g重く、12-30Tより30g軽いことになります。重量まで両者のちょうど中間になるとは思いませんでしたよ。
11-25T(左上)や12-30T(右上)と、11-28T(中央下)を並べてみました。俯瞰から眺めると、裾野の広がり方の差異が明白ですね。あと、使い込むほど赤味が消えて黒ずんでる。どれもクリーニングしてるのだけど、色素沈着しちゃうのかなあ。
ともあれ、CS-R8000 11-28T を NOVATEC JACKY 451 リアホイールに装着。奥の12-30Tと比較すると、裾野の広がり方が自然な形ですね。12-30Tはロー側5枚が全て3T間隔、11-28Tはローエンドを除くロー側4枚が2T間隔だもの当たり前か。
で、11-28Tを付けたリアホイールを LIGHTCYCLE Ti451 に装着したところ、チェーン長が足りなくてアウターローに入りません。このチェーンは11-25Tにジャストフィットする長さで切ってるものなので、想定の範囲内ではあります。でも今回は全ギアを使いたいよなあ。
そこで工具箱から取り出したのは、Ti451のシェイクダウン時に破断したチェーン。これは長さに余裕があったはずだと、現物を合わせてみたらイイ感じ。当時のアクシデントで歪んだコマを除外しても、11-28Tの使用に足りるチェーン長を確保できました。
こうして長さを合わせたチェーンを、これまたストックしておいたクイックリンクで接続。非真円チェーンリングのアウターとインナーともに、リア11-28Tの全ギアを使える状態になりました(ただしDi2はインナートップ2枚に入らないよう制御されてます)。これで様子を見よう。
というのも、200kmほど使った12-30Tを確認したら14-15-16-17が最も汚れてた(=最も使ってた)ことが分かったんですよねえ。やはり16Tは欠かせない存在なのか。どうしても11-28Tで違和感を拭えないようだったら、12-28Tに組み替えてみようかな。
さて、いろいろと理屈をこねた末に採用した11-28Tの使い勝手や如何に。200km超のロングライドに有効な汎用性を発揮するのか、それともミニベロには中途半端な器用貧乏なのか。その片鱗を見るために、次の週末にテストライドしてみます。だから雨よ降らないでくれ。
4 コメント
はじめまして。
私も2年前に地元の自転車屋さん経由でLIGHTCYCLE Ti451を購入しましたよ。
フレームの寸法も5回程修正して頂きました。
コンパクトに見せたかったのでトップチューブ高は少し低めにしました。
ちなみにDURA9100 Di2仕様で フロント55-39 リア11-30 の楽々仕様です。
> ふみおっちさん
コメントありがとうございます。LIGHTCYCLEユーザーの方からお声がけいただき、とても嬉しいです! とてもマイナーなミニベロですので、同好の士との接触はありがたい限りです。
ふみおっちさんのフレームも相当にこだわった末の完成に思えます。そしてデュラエースのコンポを使用しているのは、やはりチェーンリング大径化が狙いでしょうか。リア11-30Tとの組み合わせに興味津々です。ぜひ、リアルに遭遇&拝見したいものです。これからも、よろしくお願いいたします!
チェーンリングの55は第一条件でした。
所有してるロードバイクと同じ感じで走りたかったし見栄えもありますから(^_^;
55-42と12-30をベースにリングを入れ替えました。
住んでいるのが岐阜県高山市ですので市内から出る為にはどの方角にも峠があるので上りでは39-30が欲しいし下りでは55-11が欲しくなります。
ミニベロ購入も通勤用もありますが一番はジャージを着ずに普段着で乗れる自転車が欲しかったのが一番の理由です。
ビンディングペダルはSPEEDPLAY SYZRを使用しています。 ロードバイクの方はSPEEDPLAY ZERO を使用していますが同じような感覚で乗れますよ。
また差し支えなければTi451の写真を送りますよ(^.^)
> ふみおっちさん
追加情報ありがとうございます! なるほど、大きなスプロケは必然的装備なんですね。それにしても、チタンミニベロを普段着用とは、何とも贅沢な話ですなあ。ペダルをSYZRというのは、どの辺を意図してのことなのでしょう。これまた気になる情報です。
写真はぜひ拝見したいのですが、コメントフォームやメールフォームでは画像を添付できませんので、SNSでお送りいただければ幸いです。引き続き、よろしくお願いいたします!